【ベッドリネンの修理】布の寿命まで着倒う

昔から日本には「着倒す」という言葉がある。
古くなった着物を解いて布団の生地にしたり、使い古しのタオルを雑巾にしたり・・・素材を大事に、寿命が終わるまで徹底的に使い込もうという精神文化だね〜。
布団も昔は綿わた布団でだったから、数年毎に打直しあるいは引き直しをして仕立て直して大事に長く使っていた。

オレのベッドリネンに用いる生地は、ほとんどが服地(シャツ用生地)だ。
だから、寝具用の生地とは違い、独特の肌触りや表面に表情を出すために、多くの職人さんたちがそれぞれの行程で関わって手を加えて仕上げた生地。

生地は洗い込んでいくと、油分とコシがなくなり、紙のように裂ける状態になり、これが生地としての寿命。
この状態になるのは、毎日使用し、頻繁に洗い込んで、やっと7〜10年くらいで起こる・・・これで生地の寿命が終わるという事だね。

ベッドリネンの買い替えの切っ掛けは、汚れた、切れた、毛玉などなどで、ほとんどの場合は生地自体が劣化してではない。

特に掛布団カバーはファスナー部分がもっとも傷むので、ファスナーのスライダー(開閉する時に走らせる虫状のパーツ)が外れたり、ファスナーの止めの部分が傷んでほころびでの買い替えがほとんど。
つまり、生地は何でもないが、部品や部品付近の劣化が進んでカバーとしては用を成さなくなるわけだ。

ヘッダーの写真は3年前にお作りした布団カバーのファスナーの止めの部分が傷んでほころびたて修理依頼をいただいたもの。
生地もほころびているが、ファスナーを外して数ミリ縫い込みながら新しいファスナーに交換すればまだまだ数年ご使用いただけるカバーに戻るんだよね。

他社他店のものは、生地の特性が分からないので修理はお断りしているが、オレが用いる生地はそれがすべて分かっていますのでリペア可能だから、生地の寿命まで使っていただきたいね。

使い捨ての、ただ布団が汚れないためにかけるカバーという用途だけでなく、毎日使うものだから気持ちのいい肌触りのベッドリネンを使いたいもの・・・そのためにリペアはいつでもご相談いただきたいわ。

数年使い込んだ綿や麻の肌触りは、新しいものでは表現できない・・・その年月を掛けて洗い込まないと表現できないものだ。
古ぼけるのではなく、歳をとる、齢を重ねてそれが魅力になる様な生地・・・そんな生地をベッドリネンで使って、布団カバーやシーツももう一度「着倒す」ことを見直したいものだ。

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