西洋人と日本人の肌の違いを以前のコラムで書いたが、日本人の肌は、五感の中でもとても敏感なセンサーなんだよね。
言葉を使わなくても「察する」という形で肌で情報収集できるくらい、狩猟民族の”最後の鎧”的な、物質的な皮膚とは役割も敏感さも違うわけ。
顔の中には5感がすべて揃っているよね。
横長のもの…眼、口は、自分の意志で閉じることができる。
縦長のもの…耳、鼻、皮膚は自分の意志に関係なく、外部からのアプローチを受け続けているんだよ。
無意識になる睡眠中でも、耳、鼻、皮膚・・・つまり、”音”と”臭い”と”肌ざわり”は何かを感じ続けているということなんだな。
体は眠り、脳が起きている段階…レム睡眠段階では、この3つの外部アプローチは次のノンレム睡眠段階にたいへん影響する。
ベッドリネンのファブリックの肌ざわりにこだわるということは、眠っている間にも自分に安堵感や心地よさをあたえ続け、季節感を感じさせつづけてくれる。
また、入眠の際も、敷アイテムは「安心感」を与えてくれるが、「安堵感」…ホッとした安心感はベッドリネンのファブリックの肌との摩擦感で与えてくれるんだよ。
赤ちゃんに限らず、ペットのワンちゃん猫ちゃんも、体を撫ぜて上げているとなんともいえない表情になる。今にも眠りに落ちそうな至福の表情に・・・これがファブリックが与えてくれるアプローチと同じだ。
どうせ使わなきゃいけないものなら、単に布団やマットの汚れを防止するためだけでなく、自分の安堵感を与えてくれる気持ちのいいものを使う方がいいとオレは強く思っているんだわ。
「肌ざわりとは、布のコシの強弱と表面の凹凸で表現された、触覚に訴える芸術的アプローチである」とオレは定義している。
簡単に言えば、偶然出来た凹凸感や生地の硬軟で肌ざわりを作るということだ^^;;
普通のシーツやカバーも、洗濯時にシワを伸ばさず干せば、表面に強いシワの凹凸があるサラッとした肌ざわりは、この時期とても気持ちよいベッドリネンになるね。
それを秋には、シワを伸ばして干し、軽くアイロンを掛けて仕上げれば、フラットで体に密着度の高いベッドリネンになり、熱を逃がしにくくなる。
少しの工夫で無限の肌ざわりは作れるということだよ。
シャツは、季節によっていろいろ着替えるのに、なぜベッドリネンの表情も風合いも肌触りも、これといった個性がないものがほとんどなんだろうか?
オレはそこがとても疑問で、そのために自分のブランド「Al-jabr」を作り、アパレルのファブリックを使ったベッドリネンを27年前からご提供しているわけ。
サラッとしたとか、ヒンヤリしたと、ふんわりしたとか、クタッとしたとか、ホワッとしたとか・・・そういう表現ができるファブリックで毎日眠りたい。
せっかく四季のある日本なんですから、季節感を感じるファブリックで毎日眠りたいわ。
そして、掛、敷、ピローと一緒の布地が同じなんて、実にもったいないと思う。
どうせ使うんだから、徹底的に自分の好みで、肌ざわりもコーディネートしないとホントにもったいないよ。
何事にも「どうせ使うなら」…ってことに自分なりのこだわりを持つのって、実は合理的だし、大事だと思うんだよね。