そば殻の枕の使い方

硬めの枕がお好みの方で「そば殻」の中材のものをお探しの方は多いね。

日本人は昔から枕と言えば、そば殻が一般的だった。最も手に入りやすい穀物であったことからなんだろう。

確かに、枕の中素材の中で、最も頭の熱を取る素材は「そば殻」。
頭寒足熱と言われるように、頭の熱は取り、足は冷やさない・・・が睡眠中に最も大事なことだ。
オレは、枕の中材で最も理想的だと思うのは「そば殻」だと今でも思っている。

では、なぜそば殻が最近敬遠されがちになってきたのか?
女性は柔らかめの枕を好まれる方が多いのと、ガサガサ音がするのを嫌われる方もいて、女性が選ばなくなった理由は別にあるのだが・・・「不衛生」ということだろうな。

そば殻は穀物だ。必ず穀物に付く虫が卵を産みつけてあるので、そば殻を枕の中材にする前には殺虫及び殺菌行程を入れるが、成虫は死滅しても卵は殺せない。
卵まで死滅させるくらい強い殺菌をしてしまうと、そば殻自体が粉になってしまうため、6割程度の殺菌でとどめておくことになるね。
だから、梅雨の時期から夏場に掛けて、その卵が孵化するのに必要な熱と湿気を与えてしまうと孵ってしまう危険もあるんだが、生き残っている卵が孵化するより、湿気で卵にカビがはえ、それを餌にするチャタデムシが発生するというケースがほとんどだ。

ただし、そば殻から発生するチャタテムシはカビを餌にする虫で、タンスや古書、穀物や麺類などからも発生する室内にいる虫では珍しくない虫だな。餌がカビ類なので、ヒトを咬んだりなど直接の害はないが、発生する時には数百匹になるのでその量に圧倒…というか気持ち悪さがあるね。
また、そば殻には、そば粉の残粉が残っているため、それがコナダニの餌となり、ベッドの上にダニが上がってしまう恐れもあることが最も大きな問題だと思う。

そば殻の枕を好まれる方は、必ず水洗いして熱殺菌で乾燥させたそば殻を使った枕をお選びいただきたい。瓶に入れて振っても洗浄済みのそば殻は粉がでない。

(左:洗浄したそば殻 / 右:未洗浄の一般的なそば殻)


そして、使い方に充分な注意が必要・・・孵化の条件が揃わないように使用することが大事だ。
ほとんどの枕は、日干しした方が良いのだが、そば殻だけは直射日光は避け、マメに風通しの良い所で陰干しが一番のメンテナンスだな。

ポリエチレンやポリプロピレンなど、チューブやストロー状でそば殻に変わる素材が多く出ているが、なかなかそば殻の感触には近づけないのが現状。

昔の日本家屋なら密閉性もなく、部屋や押し入れの通気もあったわけだから、こうした天然素材も無造作に使えたわけだが、気密性の高い現代住宅では、天然素材はその長所と上手に付き合っていく工夫が必要となるよ。
天然素材は長所もあれば短所もある・・・とりわけ、穀物のそば殻は、その取扱には十分な注意が必要。注意すれば、最高の機能を提供してくれるんだよね。

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