羽毛の中身・・・グースとダックの違い

なぜ、水鳥しか使わないか?

羽根の芯は中空になっていて、水鳥は体を浮かせるために空洞になっているが、陸鳥は外敵から身を守るために脂肪分が詰まっている。それが年月が経つと腐って悪臭や虫の発生おもとになるから、衣料や寝具は水鳥しか使わないんだよね。

「グース(ガチョウ)」と「ダック(家鴨)」

羽毛布団に使われるのは2種類。どちらも食用の副産物して、その羽毛と羽根を布団の中材として使っている。この2種類の水鳥は、種類が違うだけでなくがあり、機能もレベル的にも大きな差があるね。

最も大きな違いは、”生息地”

「グース」は、北緯42-43度から57-58度の極寒地でないと生息できない。養殖ができないということだね。
「ダック」は、寒い場所から暑い場所まで、種類こそ違うがどこでも生息できる。
そして、同じ食用でも、「グース」はフォワグラ、「ダック」は食肉ということで、飼育期間も「グース」の方が長くなくなる。飼育期間が長いという事はダウンボールも大きく成長するということで、その保温力に決定的な違いが生まれるということだ。

これがポーランドのグース。

これがフランスのダック。

「グース」は北緯42-43度から57-58度の極寒地にしか生息できないということは、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、フランス、中国、カナダなどがおもな原産国になる。
*中国も入ってるんで、グースでも市場に妙なものが出るんだけどね。やはり原産国によって飼育のノウハウの優劣があるから、同じグースでも原産国だけでなく飼育場のレベルに品質は大きく左右されるんだがね。

「ダック」は「グース」と同じ所にも生息しているが、暑い国でも生息できるから、そこら中にいるということからグースより品質の優劣の差が際立って大きいんだよね。羽毛布団が出始めた40年ほど前は、極寒地の水鳥しか使われなかったから、「ダック」もそこそこのレベルのものだったが、安価な羽毛が大量に出回ることで、カンボジアやベトナム、タイなど暑い国からも大量に輸入され、現在はヨーロッパからの輸入量と比べて9倍以上あるだろう。

オレは基本的に「グース」しか扱わない

リフォームして羽毛の30年の寿命を使い切ってあげたいという思いだけでなく、30年のスパンで考えると「グース」と「ダック」の金額の格差はそうはないということだ。

羽毛は10年毎(一般には7-8年毎って言っているが)に解体し、羽毛を洗浄・殺菌・新しい側生地に吹き込み直す…というリフォームを行う事がメンテナンス。そして2回までリフォームはパワーも復元するが、3回やると極端に保温力も落ちてリフォームにお金をかける意味がないから、羽毛のリフォームは2回までと考えたほうがいい。だから、「グース」の羽毛布団は25〜30年で買い替えとなる。

使用し始めてから20~25年メンテも丸洗いもしてなてなかったAl-jabrの羽毛布団を裂いてみたら特に傷んでることもなく、バッチリリフォームでしたから、Al-jabrの羽毛のリフォーム基準は「20年毎」だけどね。

もちろん、「ダック」もリフォームはできるが、リフォームは買った価格と大差がないので、生地のランクを落として安く仕立てる場合がほとんどだろう。その時点で”快適な布団”でなくなり、布団本来の目的は、”眠るための眠具”から”寝るためだけの寝具”になってしまうと言う事になるから、「ダック」なら5〜6年で買い替えということになるね。

例えば、8年毎にリフォームをするとして・・・
「グース」の場合
新規購入:10万+10年後1stリフォーム:5万+その10年後2ndリフォーム:10万=30年間で30万

「ダック」の場合、8年毎に買替えをするとして・・・
新規購入:6万+6年後買替え:6万+その後も6年毎に買替えると=30年間で30万ということになる。

こう計算すると(あくまで現在の相場での計算だが)、”快適に眠る”という観点から考えると天と地ほど違う…そんな風に思うんだよね。

「グース」と「ダック」の違いは、リフォームしながら長く使い倒すか、一定の時期で買い替えをしていくかの違いでもあるわけだ。

例外として、ゲスト用や別荘用など毎日使わない場合や、子供さん用としてお考えの場合はむしろ「グース」でなはなく「ダック」でTPOに合わせた混率・中材量で揃えた方がいい場合もあるので、その辺は使用用途に応じてご相談いただくといい。

ちなみに、グースでもダックでも、お安いものも市場にはあるが、そのくらいの金額をお考えであれば、羽毛布団は選ぶべきではないね。他の素材ならもっとマトモなものが買えるので、羽毛布団を予算内で買うのではなく、予算に合わせてどんな布団を選ぶかを考えた方がいい。

 

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