日本の座る文化と「座布団」

日本人の「座る」は、”椅子に座る”ではなくて、”床に座り込む”という文化なんだろうな。
ソファーに座っていても、いつの間にかソファーに寄りかかって座り込んでたり・・・。

椅子に長時間座っていられないのも、西洋人と日本人の骨盤の左右の動きの違いからきているそうだ。

寝る前の時間を過ごしている姿勢は、ほとんど「座る」という姿勢だよね。
「座る」という姿勢に必要なアイテムは、座布団とクッションだ・・・先に「座布団」について書こ^^

意外とご存じない方も多いのだが、座布団は「長方形」…つまり縦横の長さが違う。
どんなに小さい座布団でも縦長なんだよね。

そして短い辺の一辺は、縫い合わせがない。
それは、正座の時は縦長に使い、縫い合わせがない方を正面(お客様側)に向けて使い、胡座や足を崩す時には横長に使うようになっている。
・・・そんな日本の道具なんだよね。実に機能的だわ。

サイズも、用途やスペースに応じて実に沢山のサイズがある。単なる大小ではないんだわな。

・茶席判(ちゃせきばん:43cm×47cm)
・木綿判(もめんばん:51cm×55cm)
・銘仙判(めいせんばん:55cm×59cm)
・八端判(はったんばん:59cm×63cm)
・緞子判(どんすばん:63cm×68cm)
・夫婦判(めおとばん:67cm×72cm)
・落語高座用(こうざよう:70cm×74cm)

正座に必要な最小限な大きさのものから、ちょっと縁側などに腰掛けるためのもの、普段用、来客様用、婚礼道具としてもっていくものなどなど、生活シーンにそれぞれ座布団が必需品だったんだろうね・・・このサイズの多さから、そう感じるねぇ。
それだけ、日本人は”姿勢”を重きを置いていたのだと思う。

和敷布団と座布団も、中材は”綿わた”や”ポリエステルわた”をベースのわただが、やはり職人さんが昔ながらの本仕立てした”綿100%のわた”のものは座りがいい。

職人さんが綿入れをするわたは、一枚の大きなシート状のわた(玉わた)を使って、幾重にも重ねて、中心部を厚めにして綿入れをして仕立てる。

量販店などで売られているものは、ほとんどがバラバラな繊維状のままのわたを、風船を膨らませるように空気圧で生地に吹き込んだ「機械入れ」という量産スタイルでつくられてるものがほとんど。
だから、厚みにムラが出来て、使っていると中わたが凸凹になって座り心地が違うだけでなく、「座る」姿勢がしっかり保てないということになる。

やっぱり、昔ながらの職人さんの手でわたを敷き込んだものは、”体の収まり”が違うわ。

オレがピローもクッションも座布団も、わたのアイテムは職人本仕立てでしかつくらないのは、そうした”体の収まり”の良さがあるからなんだよねぇ〜。

でも、「座る」目的の座布団は、眠るための布団で使うような最上級の綿わたを使っても、値段は高くなるだけで大して意味がない・・・数年使ったものを生地を裂いて見ると、わたの傷み方はほとんど一緒だわ。

座布団にはコシの強さ・吸湿性・耐久性がある綿100%のわたが最も適してるわけだが、その機能は最上級のわたも安価のわたも大して変わらないね。
むしろ、若干下のレベルのわたの方がコシの強さは座布団に適してるように思う。

だったら、お安い方がいいわね^^
但し、安価のわたは、繊維が短いので埃っぽいから、”中級レベル”くらいの綿わたがいいと思うよ。

高級な素材を使えば良いというものではない・・・これが座布団でだろう。

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「座る」という姿勢を”座布団”を敷く事で、”床の硬さ”を感じさせないようにするのと、”床の冷え”を体に伝わらないようにすること・・・これが「座布団」に必要な用途機能で、座布団を使う目的だ。

その辺は敷布団と一緒だね。

最近は収納スペースも少ないですので、その座布団の用途機能から考えて、オレはソファーの中芯材の再生ウレタンで2cmの厚さの座布団をオススメすることの方が多いわ。
マットレスも同仕様で作っているが、用途機能から適切な素材を見つけて使う事が大事だと思う。

DNAの中にあるであろう「座る」という民族文化から、座布団を見直す必要もあるかもしれないね。

特に、帰宅後に過ごす「座る」という姿勢は、睡眠環境づくりの観点からも是非見直しておきたいところだ。

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