マクラやピローを使って寝る動物は「ヒト」だけ・・・なぜヒトはマクラという道具が必要なのか。
必要な道具であれば、自分に合ったマクラの高さ、角度は、すべて自分の身体の中にある・・・マクラは「自分の腕」にヒントがある。
どんな道具でもそうだが、道具の進化というものは、まず何かの目的があって、それを”円滑”に”簡便”に”正確”に行うために”用途の後に出来る上がるもの”だ。
だから、ヒトが何かをしようた時、まずは自分の身体の一部を使い、不都合があるので廻りの使えそうなものに代替えし、さらに便利に使えそうなものを探し、それの不快を改良していくという・・・これが用途から道具の完成までの流れだろう。
寝具も全く同じだとオレは考えている。
眠たくなって横になったら硬くて身体が痛いから、何かを敷いて寝るようになり、寒いので何かを身体に掛けるようになる。
マクラも一緒。
寝た時に息苦しい感じがしたり、頭に血が上る様な感じがするので、廻りにある適当なものを頭の下に置いて頭をやや高くして寝たということでだろうね。
大昔からいろいろな形や素材のマクラが存在していたのも、マクラは”自然”に、”楽”かどうかで、”適当”に選び、自分にあったものを探して使っていた道具だったという証拠だとオレは思う。
集落で安全が確保されていた農耕型民族・・・日本人がそうですが・・・マクラは主に呼吸気道の確保の道具ですね。
逆に、単独行動で眠る時も命の危険を感じていた狩猟型民族は、とっさに危険を回避できるよう、昼間と同じような血液の流れを保つため寄りかかって眠る柔らかいピローが道具として必要だったのだろう。
例えば、仰向けに大の字で寝た後、どうするか?しばらくして、両手を頭の後ろで組まない?・・・これ、至極あたり前の動きだよね。なんで?なんか、楽だからではないの?
横向きに寝た時はどうでしょう?片手を折って、頭の下にいれない?・・・これもあたり前の動きだね。なんで?やっぱり、楽だからだよね。
これがマクラの目的の原点だとオレは考えている。
仰向けの時は、自分の手のひらの厚み、横向きの時は腕の厚さが基本ということだ。
大げさに首のくびれや肩幅を採寸するなんてナンセンス。人間工学はそれを解明する分野で、それを素にしての道具づくりなどありえない・・・すべて、売場の説得のための対策だよ。
自分に合った眠具は、説得されて選ぶものではない。
道具の目的が分かれば、自分の身体の中にサイズや形状のヒントが必ずあるもの。