布団の家庭洗濯は絶対NG!

「布団丸洗い」には3通りある。クリーニング専門店の丸洗いとドライクリーニング、そして家庭での丸洗い。
クリーニング専門店での丸洗いなら、25kg以上のドラムで大量の水を使って洗う工場であればあまり布団は傷まないし、布団に入ったダニの死骸は80%以上洗い流されるから大丈夫だ。
また、ドライクリーニングも大概のものは大丈夫。ただし、3回クリーニングすると素材の機能・・・特に羽毛やウールの保温力は完全に落ちるので布団の寿命と引き換えということになりるけどね。

問題は家庭洗濯ができるのかどうか。効果はあるのかどうかだね。

オレがいろいろ実験した結果では、”家庭洗濯では布団は洗えない、洗ってはいけない”と結論づけている。それは家庭洗濯ではドラムが小さくて、さほど洗った効果もなく、トラブルの方が多いということ。
また、実際に家庭洗濯後に生地を裂いて中わたをみると絡まり、固まり、偏りが酷かったりしてるんだよね。
そもそもなんでそこまで皆さん布団を洗いたがるんだろう・・・「あなたはそんなに汚いの?」って言いたいくらいなんだけど。

大昔、カバーがなかった時代は定期的に布団を解いてわたを出し、わたは打ち直しに、側生地は洗い張り(洗濯)して、また再生させていて使っていたが、今はシーツやカバーを使うのが普通だ。
布団の側生地やカバー・シーツは、汗をかいた時に汗に含まれる汚れや脂質、アカなどを濾過するのが役目なんだよね。だから、カバーやシーツを使っていればそれをこまめに洗濯すればいい。

そもそも布団は洗えないのか?

布団は、生地は洗える。そして中材のわたも殆どのものが洗える。布団の中わた素材は洗浄、乾燥して中材としてに使えるようになるから、わたの段階なら洗えるということだ。
しかし、生地の中にわたが入って「布団」となったら、まず家庭洗濯機では大きさ的にも難しいね。
これはウォッシャブルタイプの布団も同じこと。よほど薄いものや小さいサイズなら大丈夫だが、シングルのスリーシーズン程度のボリュームならダメだね。洗濯効果も中途半端だし、とにかくものすごく布団自体が傷む。

脱水で傷む

布団に限らず、繊維製品全般に言えることだが、繊維は水で洗っている時はさして痛まない。傷むのは脱水している時に縮みや絡みが起こります(カーリング現象)。シャツを洗濯すると縮むのも脱水が原因だ。
脱水の時に糸の撚りがさらにきつく絞られていき、繊維の長さが縮むんだよね。布団の場合はわたなので、繊維同士が絡み合って固まり、面積も小さくなり、ゴロ付き感が出るというわけだ。
ウォッシャブルタイプの布団でもオレが「洗えない」というのは脱水が布団を傷める原因だからなんだよね。

百害あって一利なし

洗浄効果については、以前布団シングルの両面を作為的に汚してに洗ってみたが、折って丸めた中側はあまりとれていなかった。汗に含まれるタンパク質や油脂の汚れだったらもっと取れてないということだろう。
また、生地を突き抜けてわたが毛羽のように飛び出す・・・オレたちは”わたが吹く”というんだが、これがダストの元にもなり得るからね。

「布団を洗う」はメンテナンスではなく、”布団をイジメている”という事だ。

布団のメンテナンスは、“毎日使ってあげる事”“一定期間にリフォーム”するということなんだよ。

何かをこぼしてしまうなどの事故でどうしても洗わなければいけない場合は、お風呂の残り湯に漬けて足で踏み洗いし、水が滴る状態のままでバルコニーなどで干すのがいいのだが、これは大きなバルコニーや干し場があってできることで、今の住宅事情ではかなり難しいだろうからクリーニング専門店に出すのがいい。

ということで、布団をよほどのことがない限り洗うことはご法度。家庭洗濯での丸洗いは絶対にやらないことだ。
どうしても”洗いたい”という方は、安価なもので使い捨てとして布団を考えた方がいい。
安価なものをクィックで交換しながら使うのと、そこそこのものを一定期間使うのとではコスト的にはほとんど変わらないからね。

関連記事一覧

  1. 睡眠とカラーの関係
  2. 真綿工程3

お問合せフォーム

最近の記事

PAGE TOP