昔から日本人の日常生活で使われている繊維製品は、薬効の色と言っても過言ではないね。
昔はすべて天然染料・・・今は草木染めとして、淡い綺麗な自然色として一つのジャンルになっていて、ファンも多いですが、昔はファッションカラーとしての「色」ではない。
日常生活の用途として、どうしてもその植物で染色をせざるを得なかった・・・というか、その植物の薬効を利用したかったんだよね。
例えば、「日本の色」と言えば「藍」・・・藍は英語で「Japan Blue」。
昔は、庶民の着物や手拭は「藍」で染められ、藍で柄付けされるのが極普通だ。
藍は、抗酸化力が強く、殺菌に優れているからね。
手拭は、タオルとして持ち歩いたり、便所の手ふきに下げていても雑菌の繁殖を押さえる意味で藍染めが使われていたようだ。
*ちなみに、手拭いがなんで切りっぱなしのままか・・・タオルのように両端を畳んで塗ってしまうと、湿度の高い日本では、その部分が乾きにくく、雑菌が繁殖するかららしい。
また、板前さんが豆絞りの手拭を鉢巻きにしているのも、生ものを捌いていて、指を怪我した時に雑菌が入らないように、切ったらすぐ手拭を裂いて濡らして傷口に巻くためだったようだね。
藍で染めた手拭を身につけているということは、マキロンを持ち歩いているのと一緒なんだよね^^
昔は、古い浴衣をおむつにしていたが、浴衣生地は藍染めなので、かぶれ予防としても効果のある藍の効用を利用した生活の知恵と言えるだろう。
町に何件もの紺屋があったのも、綿生地を藍で染めると丈夫になることと、雑菌の繁殖を押さえられることから、定期的に着物などを染め直しながら長く着ていたんだね。
また、女性の腰巻きは「茜」色です。流行に関係なく腰巻きは「茜」色。
茜は、通経薬・消炎・止血などの効果があり、予防やおまじないの意味で、下半身の下着の染色として用いられたようだ。
忍者の黒装束は「せんぶり」を焙煎して染色されていたということを聞いた事がある。「
せんぶり」は胃痛や腹痛止めなので、食の管理が悪かった昔では、隠密行動では腹痛は命取りですから納得だな。
布に、薬を染み込ませて身に付ける・・・なんとも合理的だよね。
その他にも、柿渋は書籍や記録帳などが虫に食われないように紙を染めていたようだし、探っていけばきりがないくらい、日本の色や染色と染料の薬としての効果は切っても切り離せない。
現在は、化学染料での染色が一般的で、色は流行や、好き嫌いでの選択だが、薬効を利用した用途での色選択ができたらどんなに素敵だろうと思っている。
自然の植物を使った薬効を持った色・・・色ももう一度そんな方向から見直してみたらどうだろう。
■Al-jabrの定番タオルを正藍染めしたもの
ご希望があれば、タオル、ベッドリネンを「正藍染め」します。